家族信託と民事信託は、法律上の違いはありません。家族信託は民事信託の一種で、家族間で行われる信託契約を指します。この記事では、民事信託と家族信託、そして商事信託の違いについて解説し、民事信託の仕組みやメリット・デメリットを紹介します。
民事信託と家族信託は、どちらも法律に登場する用語ではなく、受託者が営利を目的としていない信託契約を指します。民事信託は、家族が受託者となるケースが多いため、家族信託とも呼ばれています。家族信託という用語は、一般社団法人家族信託普及協会によって商標登録されており、営利を目的としない家族間の信託契約を表す用語として定着しています。
民事信託(家族信託)の仕組みは、委託者が所有する財産の管理を受託者に託し、そこから生まれる利益を受益者が受け取る契約です。民事信託では、委託者=受益者となるケースも多く、親が所有する不動産や預貯金の管理を子どもが担当し、不動産の賃料などの利益は親が受け取ります。
民事信託と商事信託の違いは、受託者が営利を目的としているか否かにあります。商事信託では、信託銀行や信託会社がサービスとして提供していますが、民事信託では、受託者の権限や信託可能な財産の範囲などに違いがあります。
民事信託を活用するメリットとしては、生前の財産管理が柔軟にできること、通常の遺言と比べて多くのことを要望できること、3代先まで受益者を設定できること、判断能力が低下したり亡くなったりした後も意思が引き継がれること、信託財産に「倒産隔離機能」があること、不動産の管理・処分を受託者が1人で行えること、当事者間の契約のため手間や費用を抑えられることなどが挙げられます。
一方で、民事信託のデメリットとしては、財産管理以外の取り決めができないこと、節税の効果がないこと、受託者に負担がかかること、家族間のトラブルに繋がる可能性があることなどがあります。
民事信託(家族信託)は、財産管理の柔軟性や相続計画の立案において有効な手段です。しかし、その利用にはメリットとデメリットを理解し、適切な計画と準備が必要です。信託に関する疑問や不安がある場合は、専門家に相談することをお勧めします。