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利回りと利率の違いは?投資信託を理解するために

利回りと利率の違いは?投資信託を理解するために

利回りと利率は、投資や金融商品において非常に重要な概念ですが、しばしば混同されがちです。特に投資信託や債券投資を考える際には、この二つの違いを理解しておくことが不可欠です。本記事では、利回りと利率の違いについて具体的な例を交えながら解説します。

まず、利率とは、元本に対する利息の割合を示す指標です。例えば、ある債券が額面100万円で年利率3%の場合、毎年受け取る利息は3万円です。この利率は、発行時の金利水準や発行体の信用力によって決まります。つまり、利率はあくまで固定された数値であり、購入価格や市場の動向には影響されません。

一方で、利回りは、実際に投資した金額に対する年間収益の割合を示します。これは、購入価格や売却価格によって変動するため、より実際的な収益性を反映しています。たとえば、額面100万円、利率3%の債券を95万円で購入した場合、この債券から得られる年間収益は3万円です。この場合の利回りは次のように計算されます。

 =  ×100=3万円95万円×100≈3.16% =  ​×100=95万円3万円​×100≈3.16%

このように、購入時の価格が低いほど利回りは高くなります。逆に、同じ債券を105万円で購入した場合、年間収益は変わらず3万円ですが、この場合の利回りは次の通りです。

 =3万円105万円×100≈2.86% =105万円3万円​×100≈2.86%

この例からも分かるように、同じ債券でも購入価格によって利回りは大きく変わります。したがって、投資判断を行う際には「利率」よりも「利回り」を重視することが重要です。さらに注意が必要なのは、市場価格が変動することによって利回りも変わるという点です。たとえば、市場でその債券が値下がりして98万円になった場合、その債券の利回りは次のようになります。

 =3万円98万円×100≈3.06% =98万円3万円​×100≈3.06%

このように、市場での取引価格によっても利回りは変動し、そのため投資家は常に市場動向を注視する必要があります。また、投資信託の場合にもこの考え方は当てはまります。

投資信託では運用成績によって分配金が支払われますが、その分配金の額と購入時の価格によって実質的な利回りが決まります。例えば、1口1万円で購入した投資信託から年500円の分配金が支払われた場合、その時点での利回りは次のようになります。

 =500円10,000円×100=5% =10,000円500円​×100=5%

もしその後市場でその投資信託が8,000円になった場合、新たに購入した場合の期待される利回りは次の通りです。

 =500円8,000円×100=6.25% =8,000円500円​×100=6.25%

このように、投資信託でも市場価格によって期待されるリターンが異なるため、自分自身の投資戦略やリスク許容度に応じて適切な商品選びを行うことが求められます。

結論として、利率と利回りは異なる概念であり、それぞれが持つ意味と重要性を理解することが必要です。特に投資商品を選ぶ際には「どれだけ利益を得られるか」を示す「利回り」に注目し、自分自身の投資方針に合った選択を行うことが大切です。この知識を活用して賢い投資判断を行いましょう。